研究室公開

OPEN LABORATORY

未来を切り拓く最先端のエレクトロニクス
電子工学コース

06

リンパ節転移の診断と治療

基礎から応用へ

小玉研究室

EXHIBIT

オープンキャンパスでの展示

ポスターおよびPCとプロジェクターを用いた投影による説明をおこないます。

がん患者の約9割は転移が原因で死亡します。多くの症例でリンパ節転移が確認され、早期診断・治療が重要です。私たちの研究室では、転移リンパ節のイメージング技術と、薬剤をリンパ節に直接投与するリンパ行性薬物送達法(LDDS)の開発に取り組んでいます。LDDSは少量の薬剤で特定のリンパ節を標的とする治療法で、2024年度に臨床試験が開始されました。

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リンパ行性薬物送達法の開発

リンパ行性薬物送達法とは、薬剤をリンパ節に直接投与する新しい治療アプローチです。世界で初めて、私たちの研究室がこの技術の開発に成功しました。従来の全身化学療法のように血管から薬剤を投与する方法と比較して、使用する薬剤量を1/100〜1/1,000にまで抑えながら、特定の転移リンパ節を標的として治療することが可能です。2024年度からは臨床試験も開始されました。図は、上流リンパ節から下流リンパ節へとリンパ管を介して流れる蛍光色素溶液の流動ダイナミクスを示しています。

新たながん免疫療法の開発


がん免疫療法は、がん治療において大きなパラダイムシフトをもたらしました。現在、臨床で使用されている免疫チェックポイント阻害剤には、抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体などがあります。これらの抗体薬の奏効率は約20%にとどまり、加えて、間質性肺疾患や血管炎などの免疫関連有害事象を引き起こすことがあります。私たちの研究室では、これらの免疫チェックポイント阻害剤の奏効率を向上させるとともに、免疫関連有害事象の発症を抑制する新たな治療法の開発を目指しています。

造影高周波超音波を用いた転移リンパ節のイメージング

一般に臨床で使用されている超音波診断装置では、直径10mm以下のリンパ節内部構造を鮮明に描写することは非常に困難です。一方、当研究室で導入している高周波超音波イメージング技術を用いることで、リンパ節内の微細な構造を高精度に観察することが可能です。図は、マウスに腫瘍細胞を接種し、21日目に高周波超音波で撮像した転移リンパ節の画像です。緑色に描写されている部分は、超音波造影剤が流入している血管を示しています。