研究室公開
OPEN LABORATORY
先進マルチメディア情報知能システム
情報工学コース
05
地球に寄り添うバイオインフォマティクス
海水中のすべての生物のゲノム情報を解き明かす
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大林研究室 |
EXHIBIT
オープンキャンパスでの展示
変わりゆく海:海洋ビッグデータ解析の挑戦
2023年7月、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と述べました。いまや地球規模の環境変動への対応は緊急課題です。地球の70%を海が占め、日本も海に囲まれていることから、海洋環境の理解と資源管理は特に重要です。近年では測定技術の進歩により、生物学の分野で膨大なデータを扱うデータ科学が広がっています。私たちは、海水中の微生物やプランクトン、魚類のDNA配列を網羅的に解析し、海洋生態系の動態を明らかにすることで、持続可能な漁業や沿岸域の開発に貢献します。
私たちの研究
LABORATORY
複雑なシステムはより単純な要素の組み合わせで構成されています。生命システムにおいても、数万種類の遺伝子が精巧に組み合わさることで細胞システムができ、また、異なる種類の細胞が組み合わさることで、組織、器官、個体のシステムができています。 ACGTの4種類の文字で構成されるゲノムは、ある生物種を構成する多階層システムが符号化されたものです。これを正しく読み解くことでシステムの特性や弱点がわかります。 特に遺伝子発現データ(トランスクリプトームデータ)は、遺伝子と細胞の関係を反映する基盤的な情報資源であり、ここから遺伝子共発現というアプローチで情報抽出を行ない、データベースとして活用できるようにしています。
地球の表面の約70%を占める海は、微生物からクジラに至るまで多様な生物が生息する複雑な生態系です。私たちは、この海から直接的および間接的に多大な恩恵を受けており、海洋環境の理解と管理は極めて重要な課題となっています。 2024年に発足した世界トップレベルの研究拠点プログラムである変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)は、国際的かつ学際的な研究チームを通じて、地球システムの変動に対する海洋生態系の応答と適応メカニズムを探求することをミッションとしています。 特に、同機構の大林ユニットと女川フィールドセンターは、物理化学データの解析やロングリードに基づくプランクトンゲノム解析などを通じて、女川湾の生物動態を統合的に解明します。さらに、女川湾をモデルケースとして、三陸沿岸の海洋動態の解明を目指し、ひいては地球規模での環境保全に貢献することを目的としています。